堂場瞬一の本 読書リスト

そんなわけで、堂場瞬一さんの「アナザーフェイス」を読んでから、堂場瞬一さんの著作に興味を持って、図書館で借りて読みました。どの本もスラスラ読めて、堂場さんのいい意味で職人っぽい上手さが目につきます。どれを読んでも、よく考えられていて、読者を楽しませようという意欲が伝わってきます。もちろん、それぞれに出来不出来があったり、自分の好みに合う、合わないというのはあるのですが、そのブレが少ないです。

それで、手当たり次第に堂場さんの本を読みました。以下、そのリストです。

  • 「熱欲」
    堂場さんのライフワークのような鳴沢了を主人公にした作品。3作目。
    元は新潟県警の刑事だったのだが、今はいろいろあって、警視庁に勤めている。詐欺事件の捜査にあたるのだけど、一筋縄ではいかず、死者も出て、、、というストーリー。堂場さんの本はこれが2冊目。まだ、堂場さんの世界観が分からないまま読んだけど、鳴沢了ものは主人公の独白が結構くどい。それが味になっているとも言えるのだけど。
  • 「虚報」
    堂場さんは、新聞社に勤めつつ小説を書いていたらしい。まさに、堂場さんの経験が生かされた新聞記者もの。
    自殺情報サイトを仲介に、見ず知らずの人間が自殺をするという事件が相次ぐ。自殺サイトを主催していた人間はTVのコメンテーターとしても活躍している大学教授。警察は大学教授を送検するのか、なぜ自殺情報サイトを始めたのか、取材合戦がつづくが、、、
    記者の心理が分かって興味深い。
  •  「棘の街」
    誘拐事件の解決に失敗して仕事を干されている刑事が主人公。数年後、あることから誘拐事件解決の糸口を掴むが、、、
    主人公の刑事の焦燥が良く伝わってくる作品。
  • 「神の領域」
    スポーツもの。箱根駅伝で一緒のレースを走った二人が刑事と事件の関係者ということで再び会うことになる。一見なんでもない突然死にはある秘密が、、、
    堂場さんには珍しくランニングに題材を取っている。解決に導くまでの捜査過程が面白い。
  • 「破弾」
    鳴沢了ものの2作目。新潟県警から東京は多摩にある署に移った鳴沢は、ホームレスの襲撃事件を調べ始めるが、事態は思わぬ展開に、、、
    鳴沢はかなり屈折しているので、独白が長い。このシリーズは、鳴沢の成長小説だと思って読むと、良さそうな気がする。
  • 「雪虫」
    鳴沢了ものの1作目。すべての原点となる作品。新潟で三代続く刑事一家に生まれた鳴沢は、ある事件を辿る内に、それが祖父と父に繋がっていることに気づく。鳴沢は難しい選択を迫られるが、、、
    堂場作品のすべての原点とも言える作品。1作目の鳴沢はまだ単純であまり悩みが無い。この事件をきっかけに深い悩みの沼に沈んでいく。この後の成長を楽しむためにあるような作品。
  • 「敗者の嘘」
    子連れ刑事の大友鉄の2作目。
    放火殺人事件が起こり、容疑者が自殺する。容疑者の死後、弁護士が自分が犯人だと出頭してくる。しかし、この出頭は狂言だと思えるのだが、理由が分からない。やっかいな展開に大友がかり出される。
    大友鉄の持ち味が発揮されている作品。相変わらず、義理の母との桎梏が読んでいて面白い。
  • 「第四の壁」
    子連れ刑事の大友鉄の3作目。
    大友は、学生時代にアマチュア劇団で俳優をしていた。その経験は今も、捜査に役立っているらしい。その劇団の20周年記念公演に出かけていくと、公演の最中に事件が起きてしまう。
    昔の知り合いが対象なだけに大友も捜査がやりづらい。相変わらず、女性にはもてているのだけど。今回は、ちょっとキレが無かったかな。
  • 「八月からの手紙」
    野球に題材を取った作品だが、単なる野球ものではない。第二次世界大戦前後が舞台となっていて、アメリカの黒人リーグ、日本の「日本リーグ」が 二人の人間を縦軸として、戦争を横軸に運命が回り出す。この小説を読むまで、「日本リーグ」という短命なリーグがあったことを知らなかった。野球ものとしても読めるし、戦争の陰で犠牲になった人々の話としても読める。堂場さんの深い取材が伝わってくるような作品。読んで損はない。
  • 「断絶」
    東京近郊の汐灘で猟銃自殺をしたと見られる女性が発見される。そのまま、自殺として片付けられそうにになるが、汐灘署の刑事石神は疑問を感じ、独自に調査を始める。折しも、汐灘では、次の選挙の後継者争いが本格化していた。果たして、その交点はどこにあるのか。
    主人公・石神の出生にまつわる謎と選挙の後継者争いにうずまく各人の思惑。どろどろした地方の政治を描いた作品。主人公が圧力をかけられつつも頑張る姿を丹念に描写し読ませる。
  • 「沈黙の檻」
    時効となった殺人事件の犯人が雑誌に殺人を告白し、さらに自分は従犯であり、主犯は別にいるとある人物を名指しする。その人物は誰からも見ても、公明正大で信望が厚く、とてもそんな犯罪を犯しそうにない。しかし、その人物は殺人を否定せず「ノーコメント」を貫き通す。なぜ、何も語ろうとしないのか、本当に犯人なのか、刑事は沈黙を破ろうと突き進むが、、、
    沈黙を守る人間の動機が今ひとつピンと来ないのが難点。ちょっと長く感じた。

今日のおすすめ

作品に当たり外れが少なく、読者を楽しませることを常に考え、取材も綿密にしている堂場瞬一さんの作品はおすすめです。特に、後期になるほど自分としては好みです。

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