「マグマ(国際エネルギー戦争)」真山 仁

原子力発電の代替

原子力発電の代替となるエネルギーは何か?

解答のひとつがこの本だ。「ハゲタカ」で有名になった真山 仁の「マグマ」。

2011年3月11日に起きた大震災により、日本では原子力発電の見直しが始まっている。共同通信によると、現在稼働中の原子力発電所も次々に定期点検のために停止することになり、もし、停止中の原子力発電所が再稼働しないならば、今年(2012年)の4月に日本全国の原子力発電所が停止する可能性があるという。

原子力発電そのものについては、様々な意見があると思う。ただ、1つだけはっきり言えるのは、原子力発電は潜在的に壊滅的で回復不可能な障害を、自然にも人間にも与える可能性があることを、3月11日の大震災に伴う原子力発電所の事故でハッキリしたことだと考える。

しかし、今の社会で電力は必要だ。仮に原子力発電所を無くすとしたら、代替の電力エネルギーはどうするのか。風力、太陽光、潮汐、いろいろあると思う。その中で、有力な発電方法が、この本「マグマ」で取り上げる「地熱発電」だ。

「マグマ」のあらすじ

外資系投資ファンドに勤めている野上妙子は、休暇明けで会社に出勤して驚愕する。自分の机が無くなり、自分の部下もそっくり消えている。チームそのものが消滅していたのだ。そして、支店長に呼ばれ、チーム消滅の理由と、地熱発電会社への出向を命ぜられる。妙子は納得できないまま、命令に従い地熱発電の会社に赴く。

その頃、日本の代表はジュネーブで開催された「先進国エネルギー問題会議」で、日本の原発撤廃を各国から要求された。内政干渉とつっぱねることもできるが、なぜ日本が原子力撤廃を要求されないといけないのか。その理由は。。。

九州にある地熱発電会社に赴いた妙子は、まっさらな状態で地熱発電を理解し、事業を軌道に乗せようと努力する。しかし、そこには、技術的な問題、政治的な問題、環境保護団体からのクレーム、などなど問題が山積みになっていた。しかも、開発責任者は体調が非常に悪い状態になっていた。

妙子は、危機をどう乗り越えるのか。日本の地熱発電に未来はあるのか。

投資ファンド会社の内乱、政府内の政争、国立公園への規制、電力会社との駆け引き、地熱発電の技術開発の問題が、様々に絡み合いながら、物語は終局に向けて転がり落ちていく。結末はどうなるのか。1ページ1ページ、予想がつかない展開でぐいぐい引っ張っていく展開が素晴らしい。

地熱発電と原子力発電

「マグマ」では、実に手際良く、地熱発電の仕組みについて解説している。著者の綿密な取材がうかがわれる。そして、地熱発電に未来を託して、環境を保護し、持続可能なエネルギーとして位置づけている。単なる小説では無く、地熱発電のことを理解する本としても、非常に役に立つ本である。

この本が書かれたのは、2006年2月。まるで、今回の原子力発電所の事故を予見するかのような記述が出てくる。3.11 が起きた今から振り返ると、とてもうなづけることが多い。

この本だけで、地熱発電について判断を下すのは適切ではないが、日本の地熱発電は政府が主導して、規制を適切に運用すれば、非常に有望なのではないかと思われる。

原子力発電には多大なお金が注ぎ込まれている。同じように、他の自然エネルギーにもそれなりの資金と、事業を育てるための政策を実行すれば、日本の技術力で、原子力に代わるエネルギーを生み出すことができるのではないだろうか。

今日のおすすめ

真山仁さんの「マグマ」は、地熱発電を理解し、原子力発電に代わる代替エネルギーについて理解するために最適な本です。小説の形式をとっているので、楽しく読めて、エネルギー問題に関する知識も得られます。

真山仁さんの「マグマ」はエネルギー問題に関心がある人全てにおすすめです。

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